LAN配線工事の接続形態「ネットワークトポロジー」とは?
“トポロジー” という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
正式には ”ネットワークトポロジー” といい専門用語に近いのですが、簡単に言いかえると「ネットワークの接続形態」のことになります。つまり、ネットワークにおいて、デバイス(PC、サーバ)がどのような形で接続するかを表すものです。
代表的なネットワークトポロジーには、5つの形態があります。そこでここからは、ネットワークトポロジーのご説明と5つの接続形態の名称や特徴をご紹介させていだきます。実際に皆さまのオフィスでも、LAN配線工事の際にはいずれかの接続形態が採用されていると思いますよ。
目次
1、ネットワークトポロジーとは何なのか?
まず、ネットワークトポロジーとは冒頭でも見ていただいた通り、通信ネットワーク上でPCやサーバーなどの制御機器、及び各種端末機器がどのような形で接続されるかを表す用語です。
このトポロジーは専門的に以下のような違いがあり、
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物理トポロジー(物理構造)
実際にLANケーブルやPCなどの端末がどのように接続するかを示す物理的な構成のこと。
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倫理トポロジー(倫理構造)
データの流れ方を表す倫理的な構成のこと。
と、2つの構造タイプがあります。
そのネットワークトポロジーには代表的なものとして、
- スター型」
- 「バス型」
- 「リング型」
- 「メッシュ型」
- 「ツリー型」
と、5つの接続形態があります。
それでは、この5つの接続形態の特徴などをご説明させていだきます。
2、「スター型トポロジー」の特徴
スター型トポロジーとは、1つの集線装置(バスやスイッチ)に、LANケーブルで複数のPCなどの端末を接続しているトポロジーのことです。集線装置から各端末へLANケーブルが放射状に延びているように配置されるため「スター型」と呼ばれています。
その特徴は、現在のLAN配線で最もよく使われるネットワークトポロジーとなり、配線を自由に出来ることにあります。
また、端末の追加や取外しの時でもシステムを停止する必要がなく、ネットワーク上で一部の機器に通信障害が発生した場合でも、それがシステム全体に及ぶことがないという特長があります。
ただし、集線装置に障害が発生してしまうと全ての機器に影響が発生する危険性はあります。
スター型トポロジーの特徴から考えられるメリット・デメリットは次の通りです。
- メリット
- 設計が容易で導入しやすい
- 端末の追加、取外しが簡単
- 障害を起こしている箇所が特定しやすい
- ネットワークの拡張が容易にできる
- デメリット
- LANケーブルが多く必要になる
- ハブなど集線装置が故障したら全て通信できなくなる
3、「バス型トポロジー」の特徴
バス型トポロジーは、1本のケーブル(同軸ケーブル)に複数の端末を接続している一筆書きできるようなトポロジーです。構造は単純で、両端をターミネータで終端する1本のケーブル(このケーブルをバスという)に,多くの端末を接続する接続形態となっています。
その特徴は、配線の合計の長さを短くでき、1つの端末で通信障害が発生しても、他の端末は相互に通信することができます。また、機器を後から追加する際には配線を分岐するなどの工事が必要になり、機器のレイアウトを変更するときは再敷設工事が必要になる場合があります。このため、最近ではスター型トポロジーに取って代わられようとしています。
このような特徴から考えられるメリット・デメリットは以下の通りです。
- メリット
- 必要なLANケーブルが短い
- 1つの端末が障害を起こしても通信は維持できる
- デメリット
- メインケーブルに障害を起こるとネットワーク全体が使えなくなる
- 障害を起こした箇所の特定が困難
- 大きなネットワークの構築には不向き
4、「リング型トポロジー」の特徴
リング型トポロジーは、基本的な伝送路がリング(輪)状になっており、そこに複数のPCなどの端末を接続して構成されたトポロジーになります。
この形態は、論理トポロジーの代表例であり、全てのデータや情報は一方向(時計回りまたは反時計回り)で一つの端末から次の端末へ巡回します。LANケーブルや一つのデバイスに故障が発生すると、ループが壊れ、ネットワーク全体で障害が発生する可能性があります。
このリング型は現在ではあまり見られないトポロジーとなっています。
5、「メッシュ型トポロジー」の特徴
メッシュ型トポロジーは、通信の多い端末同士を直接つなぎ、通信が少ない端末は他の端末を経由させるといった構成になっているトポロジーです。ネットワークを構成する端末が、網の目(メッシュ)のような状態でネットワークを構築していることからメッシュ型と呼ばれているようです。全てのデバイスが互いに接続するメッシ型はフルメッシュと呼ばれます。
その特徴は、無線LANのネットワークであれば、各端末が発信している無線電波の信号が届く範囲内であれば、複数の端末が故障したり、内蔵電池がなくなったりしても通信を継続することが可能です。
また、有線の通信インフラの設置が時間・コスト的に難しい場所や状況に適しており、過疎の山間地での通信インフラ整備や、期間の限られたイベントでのネットワーク設営、発展途上国など通信インフラの未熟な地域でのネットワーク整備などでの利用が見込まれています。
そのメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
- メリット
- 端末間通信は互いに影響がなく、ネットワーク障害への耐性がトポロジーの間では最も優れている
- デメリット
- ネットワークの構成が複雑なので、構成や維持が難しい
- LANケーブルなどが多く必要になりコストが高くなる
6、「ツリー型トポロジー」の特徴
ツリー型トポロジーは、複数のスター型トポロジーをバスに統合するネットワーク構成形態のトポロジーです。
ハブ装置が木の根(ルートノード)に接続し、次のレベルはこられのハブ(次レベルのルートとして機能する)から枝分かれするように伸びていきます。ちなみに、ノードとはネットワークの接合点とか中継点、分岐点などのことになります。
スター型と間違われますがその違いツリー型は、1つの根(ルートノード)から枝分かれする様に伸びて階層構造になっており段階的に分かれているのが特徴です。
7、まとめ
ここまで、あまり聞き慣れないネットワークトポロジーの説明でしたが、皆さまがお使いのパソコンがどのような形で接続されているのかのご紹介でした。おそらくは、今お使いのパソコンはスター型トポロジーで接続されていると思います。
少々難しい説明になってしまいましたが、ネットワークの接続形態にはどのようなものがあるのかだけでも知っておいていただければ幸いです。