オフィスのLAN配線工事で使われるLANケーブルの種類
現在では、Wi-Fiという言葉を頻繁に聞かれるようになり、無線LANを使っているオフィスも多くなりましたが、オフィスでのネットワークの基本はやはり有線LAN、LANケーブルを使った接続ですよね。あなたのオフィスはどうですか? 大半の方はLANケーブルでの接続を行っていると思います。
そのLANケーブルには用途によっていくつかの種類があることはご存知だったでしょうか。
そこで今回は、日頃見慣れているLANケーブルにはどの様な種類があるのかご紹介いたします。
参考までにご覧になって、今使われているケーブルがどのようなものか知って頂ければと思います。
目次
1、LANケーブルとは何か?LANケーブルの種類
最初にLANケーブルがどのような役割をしているのかご説明しておきます。
LANケーブルはその名前の通り、オフィスのネットワークを構築するためのケーブルです。ルーターやネットワークハブ
などの通信機器と、PCやプリンターといった端末を有線で接続する時に使用されます。これにより、PC、プリンターなどと相互にデータ通信ができるようになります。
LANケーブルには色々な種類があり、「カテゴリー」と呼ばれる規格で性能が分かれています。
そのカテゴリーには、「カテゴリー5」から「カテゴリー7」まであり、カテゴリーごとに細かな違いはあります。もっとも注目すべきポイントは通信速度です。接続する機器によって使い分けられています。
カテゴリーと通信速度の違いは以下のようになります。ちなみに、LANケーブルのカテゴリーは「CAT」と表されます。
カテゴリー | 通信速度 | 伝送帯域 |
---|---|---|
カテゴリー5(CAT5) | 100Mbps | 100MHz |
カテゴリー5e(CAT5e) | 1Gbps | 100MHz |
カテゴリー6(CAT6) | 1Gbps | 250MHz |
カテゴリー6A(CAT6A) | 10Gbps | 500MHz |
カテゴリー7(CAT7) | 10Gbps | 600MHz |
以上の様な種類があり、この中で一般的なオフィスでは「カテゴリー5e(CAT5e)」が使用されています。この「e」とは、エンハンスト(enhanced=高まった)のe、つまりCat5ケーブルの強化版。光回線の普及により、カテゴリー5では通信速度が不十分になってきたために改良された規格です。
ちなみに、CAT6やCAT6Aは、主に医療機器など速度指定がある通信下で使用するケースが多く、CAT7はSTPケーブルのみとなっています。
また、通信速度は何となく分かりますが、「伝送帯域」とは何かご存知の方は少ないのではないでしょうか。この伝送帯域とは「帯域幅」とも呼ばれ、データ伝送に使われる周波数の幅のことになります。単位はHz(ヘルツ)です。
これは、伝送に使われる最高周波数と最低周波数の差であり、電波や電気信号を用いたアナログ通信ではこの幅が広いほど単位時間に送られる情報の量は大きくなります。ちなみに、伝送帯域が狭い(通信速度が遅い)回線をナローバンドと呼び、逆に広い(通信速度が速い)回線をブロードバンドと呼んでいます。
このようにLANケーブルには通信速度によって使い分けられ、オフィスにあるLANケーブルをよく見ると、「CAT.5e」という文字が印字されていると思いますよ。
2、LANケーブルの太さの違い
次に、LANケーブルの形状(太さ)には、
- スタンダードタイプ
- スリムタイプ
- フラットタイプ
と3種類あり、こちらも特徴の違いによって使い分けられています
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スタンダードタイプ
直径5.6mmのLANケーブルで、 長距離の配線に最適なのでオフィスでは頻繁に目にするタイプです。
ケーブルが太いため曲げにくいのが特徴です -
スリムタイプ
直径3.8mmのLANケーブルで、デスク回りなどの狭い場所に最適です。
こちらはケーブルが柔らかく曲げやすいので、狭い隙間や機器を設置する際にケーブルを通しやすいのが特徴です。 -
フラットタイプ
暑さ1.4mmのLANケーブルです。
LANケーブルをカーペットの下に這わせたり、ドアの隙間に通したりしながらキレイに配線できるので、オフィスの景観を気になる際には最適なLANケーブルです。
このように、LANケーブルは形状が異なるものがあり、長距離の配線にはスタンダードタイプを使用し、ルーターやネットワークハブ、デスク周りはスリムタイプ、フラットタイプを使用するなど、適材適所で使い分けることによって景観を損なわない配線をすることが出来ているのです。
3、LANケーブルの「UTP」「STP」「単線」「撚線(よりせん)」とは
それでは最後に、LANケーブルにおいてよく聞かれる「UTP」「STP」「単線」「撚線(よりせん)」とは何かご説明いたします。一般的にはあまり知っておいても、カテゴリーや形状と違い耳にする機会も少ないかと思いますが、予備知識としてご覧ください。
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「UTP」とは
一般的に使用されているのが、この「UTPケーブル」です。ツイストペアケーブルとも呼ばれ、2対の電線をペアにした4組で構成されているケーブルです。このUTPケーブルが、私たちが利用しているLANケーブルになります。
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「STP」とは
STPケーブルは、簡単に言えばシールドが施されたUTPケーブルになります。主にノイズ発生源の多い工場や研究所で利用されることが多く、UTPケーブルほど普及しておらず、利用範囲は限定されるLANケーブルです。
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「単線」とは
単線は、ケーブル1心を1本の銅線で構成しているので硬いのが特徴で、主に距離の離れた配線、天井やビル内を接続する配線、ケーブル移動の少ない配線に使われています。
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「撚線(よりせん)」
撚線(よりせん)は、7本の細い銅線で構成されているため、単線と比べて柔らかく曲げやすいのが特徴です。パソコンやハブなどの抜き差しを頻繁に行う場合や、設置機器を移動させることが多い場所での配線に使用されています。
こうように、LANケーブルの内部の構成なので、どのような作りになっているかだけでも知って頂ければ幸いです。
4、まとめ
LANケーブルと一口にいっても、様々な種類があることはご理解していただけたかと思います。基本的には、どのようなLANケーブルが使用されているのかだけでも知って頂き、今自分がオフィスで使用しているのがどのタイプなのか調べてみるとよいでしょう。おそらく、カテゴリー5e(CAT5e)のスタンダードタイプかスリムタイプだと思いますよ。